本書は、戦後国際政治の構造的変化と現代日本外交のアイデンティティー形成を総合的に考察した研究書である。第Ⅰ部では、冷戦の起源からその終焉までを体系的に分析し、軍備管理・軍縮・不拡散問題の展開を追うとともに、超大国アメリカ外交が直面した岐路と変容を検討する。 第Ⅱ部では、地域的課題に焦点を当て、中国が追求するパクス・シニカによる国際秩序再編、朝鮮半島における非核化と平和体制構築の模索、さらにグローバル化と米中対峙が東南アジア地域秩序に与える影響を多角的に論じる。 第Ⅲ部では、日米安保体制と沖縄問題に象徴される安全保障上の矛盾、日本外交の心理的・文化的基盤、そして「対立・自立」と「協調・従属」という二項対立に貫かれた日米関係の思想史を詳細に検証する。 構造的視座と具体的事例研究を組み合わせることで、現代国際関係の複雑なジレンマとダイナミズムの中で、日本が果たしてきた役割と今後の課題を明らかにしている。